中国に生息する固有種(ジャイアントパンダ)
ジャイアントパンダ(以下、パンダ)は、その愛くるしい姿から「平和の象徴」や「中国の国宝」として世界中で愛されています。
1. ジャイアントパンダとはどんな動物か?
パンダは食肉目クマ科に属する哺乳類です。肉食動物に近い消化器官を持ちながら、食事の99%以上が竹や笹という極めて特殊な草食生活に適応しています。
・適応の工夫: 竹を効率よく掴むために、手首の骨が進化して「第6の指(偽の親指)」のようになっています。また、硬い竹を砕くための強靭な顎と大きな臼歯を持っています。
・性格と行動: 単独行動を好み、一日の大半(10〜15時間)を食事と休息に費やします。これは、栄養価の低い竹から必要なエネルギーを得るための、省エネ戦略です。
2. なぜ中国にしか生息していないのか?
パンダの祖先は約800万年前、ユーラシア大陸の広い範囲に分布していました。しかし、現代では中国の一部に限定されています。
・気候の避難所(リフュジア): 氷河期が訪れた際、世界中の多くの地域で生物が絶滅しましたが、中国の四川省周辺の山岳地帯は比較的温暖な気候が保たれました。パンダはこの「聖域」に逃げ込み、生き延びることができたのです。
・竹への依存と地形: パンダは「涼しくて湿気が多く、竹が一年中豊富にある場所」でしか生きられません。標高1,200〜3,500メートルの峻険な山々は天敵を防ぎ、独自の生態系を維持する障壁となりました。他の地域へ移動しようにも、周囲の乾燥地帯や高温地帯がパンダの移動を阻んだため、この地に取り残される形で固有種となりました。
3. 現在の個体数は?(2026年時点の最新状況)
数十年にわたる中国政府と国際社会の保護活動により、パンダの数は着実に回復しています。
・野生個体数: 最新の推計では約1,900頭前後とされています(2010年代の約1,600頭から増加傾向にあります)。
・飼育個体数: 世界中の保護研究センターや動物園で飼育されている個体は約800頭に達しています。
・保護の現状: 2016年に国際自然保護連合(IUCN)は、パンダの絶滅リスクを「絶滅危惧(EN)」から一ランク低い「危急(VU)」へと引き下げました。これは保護活動の大きな成果ですが、依然として生息地の分断や気候変動による竹林の減少といった課題は続いています。